「寄り添い」過剰社会
仲正昌樹 · 中央公論新社
学校でも、会社でも、家庭でも、そしてSNSの中でも ーー今の日本では、「いい人」であること、 誰かにやさしく「寄り添う」ことが、 当たり前のように求められる。 電車や街にあふれる広告は 「あたなの人生に寄り添い、支えつづけたい」と謳い、 大学教員は学生の悩みに常に応答することを義務づけられ、 少しでも厳しく接すれば「傷つけた」とハラスメント扱いされる。 親は子に、上司は部下に、四六時中「寄り添う」ことを期待される。 「寄り添い」「共感」「ケア」 ーー誰も逆らえない“正義”と化したこれらの言葉の裏で、 実は多くの人がじわじわと疲弊し、 理不尽な同調圧力に苦しんでいるのではないか。 歯に衣着せぬ舌鋒で知られる著者が、 あえて自分自身にも向けられる「寄り添えない奴」という批判と正面から向き合いながら、 本書を書き上げた。 古今の思想と文学を縦横に読み解き、 美しい言葉がいかにして肥大化し、 時には他者への支配や暴力にすり替わってきたかを鋭く解剖する本書は、 単なる社会批評にとどまらず、 哲学史・思想史の確かな知見に裏打ちされた議論を展開していく。 「共感疲れ」「ケア疲れ」を感じているすべての人、 部下や後輩、子どもとの関係に悩む人、 そして「寄り添えない自分はダメなのか」と自分を責めてしまう人へ。 優しさが息苦しさへと反転する社会のからくりを見抜き、 過剰な同調から自由になるための思考の武器を手渡す一冊。 読み終えたとき、あなたも「寄り添い」という言葉の呪縛から、少し自由になれるはずだ。
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