この不確かな世界をどう見るか ターナーの描いた「風景」
富岡 進一 · 岩波書店
産業革命の真っただ中を生きたイギリスの画家、ウィリアム・ターナー。「自然の全体系を完全に写しとったただひとりの人間」とも評された彼は、急激に変わりゆく世界に何を見てとったのか。ターナーの描く風景を丁寧に読み解き、そこに見られる世界観に、今この時代を生きるヒントを探す。[カラー口絵、14ページ] はじめに 本書に登場するイギリスの地名の位置 第1章 風景画とは何か 自然と風景 風景画と世界観 「美しい風景」とは何か 風景画は世界理解の装置 第2章 絵画は世界を明らかにする 「すぐれた絵」とは何か リンゴの絵を見て、夕食の献立に想いを馳せる…… 「絵を見る」と「絵を読む」 絵を読む方法ーーイコノロジー(図像解釈学) イコノロジーの実践ーー《カンバーランド州のコールダー・ブリッジ》 第3章 ターナーが見た世界1--産業革命の光と闇 交通革命ーー《雨、蒸気、速度ーーグレイト・ウエスタン鉄道》 太陽の沈まない大英帝国ーー《トラファルガーの戦い、一八〇五年一〇月二一日》 ブルジョワジーの台頭と長時間労働ーー《月明かりのもとで石炭を積みこむキールマンたち》 捕鯨産業ーー《捕鯨船員たち》 環境破壊と人新世ーー《リーズ》 奴隷制ーー《奴隷船》 第4章 ターナーが見た世界2--強すぎる光・渦・未完成 花のない世界ーー《チャイルド・ハロルドの巡礼ーーイタリア》 世界の偶然性ーー《グリゾンの雪崩》 光が世界を隠すーー《湖に沈む夕陽》《レグルス》 渦巻く世界ーー《吹雪》 未完成という完成ーー《ノラム城、日の出》 世界の始原としての混沌(カオス)--《議事堂の火災、一八三四年一〇月一六日》 第5章 この不確かな世界とどうかかわるか 芸術と世界ーー《解体されるために最後の停泊地に曳かれていく戦艦テメレール号、一八三八年》 芸術と自分ーー《風下側の海辺にいる漁師たち、時化模様》 見え方そのものを問いなおすーー《三つの海景》 自分自身の世界の見方をつかむーー《カルタゴを建設するディドーーあるいはカルタゴ帝国の勃興》 「ありのまま」の世界を見る ターナーがいまの私たちに教えてくれること ターナー年譜 本書で取り上げたターナーの作品一覧 あとがき
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